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Donzoko brewing (UK)

 日本人には、つい「?」と反応してしまう名前DONZOKOという名前のブルワリー。

元々、イングランド北部のハートルプール(Hartlepool)という町で醸造設備を借りてビールを作っていましたが、需要の伸びに対応する為に2021年にスコットランドのエディンバラ(Edinburgh)に移転。

(メチャクチャ美しい街で、映画の中に来たような没入感を味わいつつ、気軽に登れる山があったり。)

 現在は、同じくEdinburghに位置するNewbarnsというブルワリーの一角にDonzoko用タンクを設置し、Brewhouseや充填機は彼らの設備を借りてビールを作っています。

 このNewbarnsは、イギリスのクラフトビールシーンを以前から好きだった人にはピンと来るというか、刺さるであろうThe Karnel出身のGordon McKenzie とEmma McIntosh。そして、元BeavertownのFredrik BjerksethとJonny Hamiltonで2019年9月より運営されています。

 彼らの紹介は、別の機会にするとして、面白いのはBrewhouseキットが本当に見た事もないような遺産のようなデザイン。

 これは、2018年の彼らが産業オークションで見つけた醸造キットでBurton-on-Trentにあるモルソンクアーズで昔に試験醸造用で使用されていた古いマッシュを買い取り、手を加えた物。  今にも空に飛び立ちそうなデザイン(笑)

さらに、ケトルは彼らの古巣The Kernelからという、何とも心くすぐられる組み合わせの醸造キット。

 そんな醸造設備を使用し、Donzokoのビールを造るのは若干28歳のReece(2022年に会った時点)。

初対面の時、貫禄あったし普通に年上だと思ったのですが…

最近のUKクラフトビールシーンは彼世代~30代で、第一線で活躍する若手が非常に多い印象。

 現在は、セールス1人とReeceの2人体制ですが、2022年7月時点では全て1人で醸造、イベント出店等こなしていたと考えるとスーパーマンですね。

 元々、2014年から実家の庭でビールの醸造を開始し、ニューカッスル大学とLMUミュンヘンで化学を学んでいたReece。

 ホームブルーイングをしていて、ミュンヘンに一時住んで、ジャーマンスタイルに傾倒するというのは当然の流れで、卒業後2017年の夏に初の商業用ビールを仕込みます。

 以来、ジャーマンスタイルをメインに下面発酵のビールを様々なブルワリーの設備を借りてビールの製造販売をスタート。

創業当時は、彼の両親が時折梱包のお手伝いもされていたそう。

 ラガーが好きで造るReeceですが、「大手ビールのラガーと比較して高いなら、明らかにそれだけ分良くするのが自分の責任で、業界としても何故それが高いのかを説明していかないといけない。

 Barにおいて、ラガーは大手資本がガッツリと絡む、最も競争率の高いビールですが、クラフトビールシーンに於いても、もっと話題の中心となるべきで消費財のような汎用品ではなく、3Dの生きた物体として、より多くの人にカジュアルに楽しんでもらえるようにしたい。」と語る。

彼が造った伝統的なミュンヘン・ラガー・スタイルをアレンジしたNorthern Hellesは、瞬く間に多くのファンを獲得。

次に、最初の1口から最後の1口まで、より泡が楽しめるようにと設計されたのがBig Foam。

ドイツの伝統的な造りへのリスペクトを込め、彼のラガーは、ビールの煮沸前に行うph調整を、薬品等で調整するのではなく、Mix culture(混合培養酵母)を使用して自分で作ったビールに似たものを投入してph調整を行う。

彼のラガーの味わいの奥行の広がりは、これに起因する部分も多いという。

そして、お気づきかと思いますが。

Donzokoの名前は、下面発酵のビールをメインで作っているからドンゾコという名前だそう。

元々、映画や音楽でDonzokoという言葉を知り、気に入ってこの名前にしたそうです。

 

 イギリスのビールシーンでも、超若手で、かつ今膨大に増えるクラフトブルワリーや大手の価格やイメージもある中で、ラガーという最もシンプルで分かりやすいようで、強烈な差を大多数の人に明確に感じて貰いにくいスタイル。

シンプルであるからこそ、難しく美しいこのビールで、ここ数年のUKだけでなく欧州ビールシーンで注目されるようにまで至ったのは、彼の造るビールの緻密さと魅力のなせる業だと思います。

 事実、彼のビールを輸入する欧州のインポーターは3年前から彼のビールに惚れ込み、3年待ってようやく今年から販売開始出来るようになったそう。

夕方の4時頃からブルワリーに訪問してから、深夜0時までずっとパブで延々と飲みながら色々話していたのに、何を話していたかあまり覚えていません。

(明るいですが、夜の10時に食べる物探しにパブから一緒に出た図)

最後にお互いの将来のヴィジョン等も語り合ったという事は、記憶してるんですが…まぁ次回もう一度話せると良いなと思います…

今後さらに活躍していくであろう彼に期待!

À Tue-Tête ア チュエ テッテ (スイス)

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