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Garage Beer Co (スペイン-バルセロナ)

Garage Beer Co(以下Garage)は、スペインはカタルーニャ地方のバルセロナに位置します。サグラダファミリアを設計した建築家ガウディや芸術家のミロ,ダリやピカソを輩出した都市としても有名です。比較的温暖で過ごしやすく海にも程近いバルセロナは、食事も美味しく新旧の文化が融合した深みのある魅力的な都市です。

カタルーニャ地方でできた最初のクラフトブルワリーではないが、Garageは間違いなくIPA, SourやImperial Stout等で、国際的な評価を得た最初のブルワリーです。

そして、スペインだけでなくヨーロッパの中でもトップクラスにインターナショナルなブルワリーとして多くのブルワリーとコラボをしながら。スペインのクラフトビールシーンを牽引しています。

そして、オーナーの1人Albertoと話した時の彼の柔らかい物腰とビールだけでなく音楽やアートといったカルチャーを大切にする姿が、ブルワリーにお邪魔した時に強く感じて、クラフトビールの捉え方や想いの部分で凄く共感した事で一瞬で大ファンになりインポーターになる事をお願いしました。

Garageは、イタリア人のAlberto Zamborlinとイギリス人のJames Welshにより2015年1月に立ち上げられました。彼らは、それぞれ別業界のキャリアを経てバルセロナに来ており、2013年Steve Huxleyのホームブルーイングクラブで出会いました。

*Steve Huxley

スペインのクラフトビール醸造家で最初にアルコールライセンスを取得。

Barcelona Brewing Companyを創業し、著書” La Cerveza- Poesía Líquida”と地元のメンターとして名が知られている。

事実、彼がAlbertoとJamesが出会うキッカケになった。

Jamesは、元々印刷業界で働いていましたが、実はカスクエール醸造家の血筋家系で、彼の父はHampshireハンプシャーのRingwoodというブルワリーでキャリアの大半を過ごしました。

叔父も醸造家で、彼の兄弟も醸造ができ、自身でパブを経営しています。

当時、スペインでクラフトビールが黎明期だった頃(まだまだ黎明期だが)に彼らは出会い、すぐに意気投合しバルセロナで造られた近代的なビールが欠如している事で盛り上がりました。一緒にブルワリーを立ち上げる事を決意しますが、当時大手ビールに独占された市場でブルワリーを立ち上げるのはあまりに危険だった為、町の中心部でブリューパブを立ち上げる事を決めます。 以来、空ビルや賃貸募集の張り紙を張っている物件探しに数か月奔走しました。最終的にクンセイ・デ・セン通りの古い新聞屋を見つけました。そこはHuxleyが勧めてくれた地域にあって、空間とインダストリアルな雰囲気がビールを醸造するのにぴったりでした。

限られた予算の中、バルセロナに昔からある気楽な食料品店とグローバルでインダストリアルな空気感を合わせた空間を作ろうとしたら、必然的にクラフトビールの本質的な良さがはっきりしてきて、それにより自分たちの作りたいブルワリーのイメージが明確になりました。

すぐに、このブリューパブのビールや音楽、そして雰囲気に引き寄せられて学生やクリエイティブな人たちが集まって来たのです。さらに、ブルワリーの壁は、地元のアーティストの作品を定期的に入れ替えながら特集するようにしました。それがまた、クリエイティブな町バルセロナとつながりを生むきっかけになったのです。

オープンから数か月は、2人とも醸造からバー運営に経営と全ての仕事を自分たちでこなしながら、時間と体力の許す限りパーティーやイベント企画運営したと言います。彼らにとっては、そういった忙しい日も静かな日もその場に自分たちがいる事が必須だったと…

「ビールはただの飲み物だよね」とAlbertoは言います。

「素晴らしい飲み物かもしれないけどさ、そうでもないかも。ビール以外に必要なものがあって、それは人なんだ。物語を語る人が必要。バカげてるかもしれないけど、自分たちがやってることを自分たちで信じてなかったり、やってることをよくわかってなかったら、そういうところみんなに伝わっちゃうよね」

ただ、二人が店の空間やカルチャーに対して強いこだわりを持っていたのはラッキーなことでした。なぜならビールは普通のレベルにも届いてなかったからです。当初、American hopped KolschやWest Coast IPAの要素を取り入れたIPAを作っていましたが、キレイに発酵させる事が課題でした。

イギリスでブルワーとしてのキャリアも長いJamesの父が応援に駆け付けて、ダイアセチルに起因する問題を発見したものの彼もHuxleyが書いた本に頼る始末でした。 当時のスペインのビールライターは、「最初は彼らのビールをどう評価すべきかわからなかったけど、次第に良くはなっていたものの、大抵は素晴らしいものとは言い難かったね。但し、店はカッコよかったしだから、ビールオタクじゃない人たちがよく遊んでたんだよね。そういう人たちが毎回新しい種類のビールを飲むので、ビールのクオリティが上がっているかどうかは分からなかったんじゃないかな…」と言います。

店はうまくいってましたが、自分が美味しいという自信がないビールをずっと注ぐのは無理でした。誰かに助けてもらう必要があるのはわかっていました。そんなある日、Brooklyn BreweryブルックリンブルワリーのヘッドブルワーであるGarrett OliverがBarcelona Beer Festival開催期間中に偶然バーに訪れます。

そして、2人はGarret Oliverに「まだ僕らのビールはそんなによくないので、もっと学びたいのでコラボしてくれる所を知りませんか?」と尋ねた所、業界でいちばん顔の広いOtherHalfに橋渡しをしてくれ、彼らはバルセロナまで来て一緒にコラボ醸造する事になりました。

そうして出来たビールが、PalisadeとMosaicホップを使用したSession IPA” In Green We Trust”という芳醇でコクのあるビールで今のGarageの礎になりました。 「それがあっという間に売れたんだ」とジェームスは言います。「今まで造ったどのビールよりもホップのキャラクターが前面に押し出されていたんだ。、でも、ワインの持つ強いアロマに慣れているスペイン人に向けて、より香り高いビールを造る事を次の目標にしたんだよ」。

思わぬ成功で2人は文字通りtrust in Greenを信頼することになり、GarageのPale AleやIPAは全てそのコラボビールの造り方にしたがってしっかりとドライホップしたものになりました。ニューイングランドスタイルのIPAがGarageを成功に導いたのは皮肉と言えるかもしれません。ほとんどのヨーロッパの醸造家と同じで、二人は飲む前からインスタグラムでIPAのトレンドを知っていて、みんながそうしたように見た目も真似ました。このひねくれた態度は続いて、最初のNE IPAに実に素晴らしい名前がついたのです。

インスタグラムのフィードにずっと上がってきた濁ったアメリカンIPA「”Soup”という名前は、向こうで起こっているすべてのスタイルをジョークみたいに真似したものだったんだ」と彼のジェームスは言います。「そんなビールを作るとは思ってもいなかったので、実際にヘイジーIPAを作った時には、『スープ』と呼ぶしかなかったんだよね」

元々、Soupはシーズナルビール扱いだったが、GarageのフラッグシップIPAとなりました。

ジューシーなパイナップルやマンゴーのようなアロマの弾けるSoupは、MosaicとCitraのホップの融合でより人気ビールとなり、その名前とデザインは飲み手の琴線に間違いなく触れるものだったのです。 「ビール業界には素晴らしいデザインが溢れているけど、その大半はベクターデザインで」と彼女は言う。「様々な物の写真を利用すると色や形中心のデザインの中では際立つと思ったの。物を使うと毎月ストーリーを伝えられるでしょ。シーズン毎にテーマがあって、まとめるとコレクションになるのよ」

彼女は、ファッションデザイナーたちからインスピレーションを得た。ファッションデザイナーというのは新しいコレクションをリリースしなければならないようなプレッシャーが常にあって、共通のテーマの元に幅広いデザインをしなければならないだから、Garageのアートワークも、毎シーズン1色に染められたキャンバスに1つの物をど真ん中に配置する又は決まった物の柄を繰り返す壁紙のようなスタイルでデザインしている。結果的にいつも素晴らしいものが出来上がっていて、それはカラフルなヨーロッパのボトルショップ等の冷蔵庫の中でも常に目立っている。

今でこそ全醸造量の45%近くを輸出しているGarageですが、最初の計画では輸出など考えてはいませんでした。

当然ブリューパブをオープンした頃は、出来るだけ多くのビールをお客さんに直接提供するつもりでした。いざ醸造量の限界に直面すると、現状維持するのかリスクを背負って事業を拡大するのかという決断に迫られたのです。

そうして、オープンから18か月の内にGarageは飛躍的な成長を遂げました。ビールは非常に高い評価を得て、多くのクラフトビールショップからの引き合いが来るようになり、二人はスペインビールのブームが来るのを感じました。そうして、2人はバルセロナのカルチャーの染み込んだブルワリーを新たに作る事を決めたのです。

Jamesがバルセロナに来たばかりの2004年頃は、ビールと言えばEstrellaしかなかったので、町の至る所でGarageのビールを飲んでもらえるようにする事が夢だった2人ですが、それを実現するにはブリューパブ時代と比較にならない程大量のビールが必要になります。そうした中、政府の補助金にクラウドファンディングでの資金調達を足して、2016年4000Lの生産設備をオープンさせた。

*クラウドファンディングで彼らが集めた額は、50万ユーロ(約6000万円)に上り当時のスペインでは過去最高額だった   ブルワリーが出来てから、彼らはビールがメインの店ではなく、一般的な飲食店に向けた営業活動を開始し、軽くて飲みやすいGarage IPAを樽で販売しようと考えたのですが、普通のパブにはタップが一つしかなく、それは大手が抑えており、日本同様、大手はビールサーバーや冷蔵庫、その他販促物も提供しているため、歯が立ちませんでした。

ビールにとっての最良を考えてパッケージを缶にしたものの、スペインのワイン愛を持つ飲み手達はビンの方を好みました。さらに、バルセロナの暖かい気候も災いして、店はビールの為の冷蔵庫やサーバーを持たないので、綺麗に注げないという問題も出てきたのです。

そうして、オープンした2016年の内に目標としていた販売量を達成出来ず、一年も経たずに経営のひっ迫が浮き彫りになり始めました。

単月で大幅赤字を出していたその頃、政府からもらっていた助成金があったものの、ジェームスは国外の友人たちに相談し、輸出で事業を支えつつ、国内市場は地道に進もうという結論に至りました。

Garageのビールにとってスペインの市場は、大切ではあるものの小さいものだったのです。ヨーロッパには自分たちの宣伝になるようなことをしてくれる業者が多くいて、常に新しいブランドを探していました。

そういうわけで、彼らはイギリス,フランス,ドイツ,イタリアとスカンジナビアへの輸出を開始しました。当然、新しい販売網の構築では価格の問題よりも品質管理の方が重要課題でした。それに、ビールを充填するタイミングや物流のタイミングを合わせる事も…しかし、なんとGarageは見事な方法を思いついたのです。彼らはシールをパレットに貼付け、流通過程で4-8℃以上の温度でビールを置かれると色が変わるようにしました。業者はビールを受け取ると、そのシールの写真を撮影してGarageに送るのです。それできちんと確認できるというわけです。

Garageは再び業績を伸ばし、輸出によりビールシーンにおいて、Garageとバルセロナはより国際的認知を得ました。2018年には、28万Lそして19年にはその倍にも上る勢いの醸造量となったのです。

しかしながら、地元ではビール専門店以外への販売は未だ難しいままで、

地元の人々がどれだけ地場産品を大事にするかを知っている人は驚くだろうが、今のGarageの醸造量の約20%程度しか、カタルーニャ地方で消費されてない。

個人の好みに合わせたサービスや職人気質の製品を好む気持ちが大手を打ち負かして欲しいものです。

Garageのセールスには、

・輸出担当

・地元スペインの販売店や卸のサポート担当

・バルセロナで専門店以外にカフェ/ホテル/レストランなどにクラフトビールを広げる担当

がある。

Garageでは、彼らがホームに選んだ場所バルセロナについてもっと伝えたいことがあるのでストーリーを作っていきたいと思っていて、ビールの醸造に地元のフルーツや樽を使用し、醸造過程で様々な要素を盛り込んでいくことを大事にしています。 最初の醸造所から野生酵母を採取し使用する事でより地域との関連性のあるビールを造っています。幅広い顧客を獲得したいのにも関わらず、Wild Aleを造るというのはちょっと変わっていると感じられるかも知れないが、カタルーニャの人々の洗練された味覚を信じています。

地元に愛されるものを造ろうと必死に頑張る2人の姿勢とその姿勢が由緒あるバルセロナの一部になっていくのが感じられるでしょう。

そして、彼らが毎月行うブルワリーでの新商品リリースパーティーで、お客さんと乾杯したり握手をしたり、写真映えするポロンからビールを飲んで楽しんでいる彼らを見ると、自分たちがやって来た事に誇りを持っているのも伝わってきます。

これ以上拡大させる気はないそうで、最初にやったBrewpubに毎晩いた数年間が懐かしくその仕事が一番好きな仕事だった為、もしも、拡大させるなら2つ目のBrewpubを作るかなぁ、とAlbertoは語ります。

こうした、彼らのアート・音楽・地元バルセロナ・そして勿論ビールへの情熱は、今でも全く薄れることなく。

それは、彼らが毎月ブルワリーで行う新作ビールのリリースパーティーにも現れています。

(たまたま、バルセロナ滞在時がそのイベント日と重なり友人が気を聞かせてくれて予約してくれていたのもあり参加しました。)

Brewery Team

From Justina

Garageはとても若く、エネルギーに溢れたブルワリーです。最高のビールを作るためにみんながスーパーハードに働いてます。バルセロナで、素晴らしいビールを醸造することがみんな大好きです。いつも言っているように、このビールは太陽の光を浴びて醸造されており、バルセロナの不思議な魅力にインスピレーションを受けています。 みんなでこういうすごいビールを作れるっていうのはものすごく楽しいよ

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Whiplash(アイルランド)

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